上浮穴郡面河村 (現 久万高原町)
2005年6月23日 in the life私の母方の家系の出自
それが
か み う け なぐ ん お も ご む ら
上 浮 穴 郡 面 河 村
県庁所在地の市より
車で1時間と半分
くねった山道を行き
山の森の中
深く
深く
人が
ずっと息づいてきた
村・・・
せせらぎが流れ
豊かな湧き水を利用し
畑と
田圃で
大地の恵みを受け
山の木々を
山とともにはぐくみ
森を
林を育て
その恵みを受けてきた
せせらぎには
嘗て豊かに
川魚が生きていた
・・・今は護岸工事のため
彼らの姿を見ることはあまりない
嘗ては
養蚕をしてもいた
蚕さんの繭から取れる
良質の絹で
厳しい冬に
山間の屋敷で
機を織っていたという
106歳にして
天寿を全うした曾祖母
その子供たちは
みなやがて80を迎えようとしている
そして
その子供たちは
山の村にはいない
曾祖母は
最後の別れのときに
初めて玄孫を見た
物心つかない玄孫は
お棺の中の小さな老女を見て
「ば、ちゃ・・・ん?」
とつぶやいた
今思い返してみれば
不思議に思う
玄孫は
物心つかなくて
久しぶりに会った叔父に
人見知りをしていたのに
母親
祖母が
「ばあちゃんだよ」
と教えると
人見知りすることもなく
「ばあちゃん」と
発語し
「ばいばい」と
別れを告げた
流れている血が
母親の
母親の
その母親であることを
告げていたかのように
私が
生前の曾祖母と
最後にであった光景は
忘れられない
曲がった腰で
畑仕事をしていた
曾祖母が振り返って
私を
あどけない笑顔で眺めていた
母と
叔父たちが
曾孫であることを告げたとき
曾祖母は
涙を流し
「ありがたい・・・ありがたい・・・」
と手を合わせた
その姿に
戸惑った私だが
ただ
「しっかり
長生きしてくださいね」
というようなことを
笑顔で伝えたように覚えている
あの光景から
私は
古語における「かなしい」が「愛おしい」であることを
直観的に知り
また
曾祖母が見てきた時代というものに対して
漠然とした興味をもち始め
それを手がかりに
100年前に生きてきた人たちの生き様など
考える機会を持つようになった
そして
その思考は
私が抱いていた幻想を
悪い意味でも
良い意味でも
打ち砕いてくれた
寂しく
仕事は厳しい
山の生活
でも
今の都市の生活と比べ
どちらが
もっと厳しいのだろう
今
山の村は廃れようとしている
曾祖母は目を閉じ
やがて
祖母や祖父も目を閉じるだろう
私の母は
山の生活には戻れないだろう
やがて
嘗て我が一族が息づいて
育まれてきた集落が
少しずつ
眠りについていく
やがて
一人立ち去り
一人目を閉じ
一人眠りにつき
すべてが閉じてしまう
私は
時折
あの山の元で
永い眠りに付くことに
最近憬れている
一人立ち去り
一人目を閉じ
一人眠りにつき
すべてが閉じてしまう前に
それが
か み う け なぐ ん お も ご む ら
上 浮 穴 郡 面 河 村
県庁所在地の市より
車で1時間と半分
くねった山道を行き
山の森の中
深く
深く
人が
ずっと息づいてきた
村・・・
せせらぎが流れ
豊かな湧き水を利用し
畑と
田圃で
大地の恵みを受け
山の木々を
山とともにはぐくみ
森を
林を育て
その恵みを受けてきた
せせらぎには
嘗て豊かに
川魚が生きていた
・・・今は護岸工事のため
彼らの姿を見ることはあまりない
嘗ては
養蚕をしてもいた
蚕さんの繭から取れる
良質の絹で
厳しい冬に
山間の屋敷で
機を織っていたという
106歳にして
天寿を全うした曾祖母
その子供たちは
みなやがて80を迎えようとしている
そして
その子供たちは
山の村にはいない
曾祖母は
最後の別れのときに
初めて玄孫を見た
物心つかない玄孫は
お棺の中の小さな老女を見て
「ば、ちゃ・・・ん?」
とつぶやいた
今思い返してみれば
不思議に思う
玄孫は
物心つかなくて
久しぶりに会った叔父に
人見知りをしていたのに
母親
祖母が
「ばあちゃんだよ」
と教えると
人見知りすることもなく
「ばあちゃん」と
発語し
「ばいばい」と
別れを告げた
流れている血が
母親の
母親の
その母親であることを
告げていたかのように
私が
生前の曾祖母と
最後にであった光景は
忘れられない
曲がった腰で
畑仕事をしていた
曾祖母が振り返って
私を
あどけない笑顔で眺めていた
母と
叔父たちが
曾孫であることを告げたとき
曾祖母は
涙を流し
「ありがたい・・・ありがたい・・・」
と手を合わせた
その姿に
戸惑った私だが
ただ
「しっかり
長生きしてくださいね」
というようなことを
笑顔で伝えたように覚えている
あの光景から
私は
古語における「かなしい」が「愛おしい」であることを
直観的に知り
また
曾祖母が見てきた時代というものに対して
漠然とした興味をもち始め
それを手がかりに
100年前に生きてきた人たちの生き様など
考える機会を持つようになった
そして
その思考は
私が抱いていた幻想を
悪い意味でも
良い意味でも
打ち砕いてくれた
寂しく
仕事は厳しい
山の生活
でも
今の都市の生活と比べ
どちらが
もっと厳しいのだろう
今
山の村は廃れようとしている
曾祖母は目を閉じ
やがて
祖母や祖父も目を閉じるだろう
私の母は
山の生活には戻れないだろう
やがて
嘗て我が一族が息づいて
育まれてきた集落が
少しずつ
眠りについていく
やがて
一人立ち去り
一人目を閉じ
一人眠りにつき
すべてが閉じてしまう
私は
時折
あの山の元で
永い眠りに付くことに
最近憬れている
一人立ち去り
一人目を閉じ
一人眠りにつき
すべてが閉じてしまう前に
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