ハナカゼ

2004年11月3日 form books
本当に一人きりにならなければ
孤独なんてわからない
孤独を実感したところで
暴力的にその隙間を埋めようとする行為は
一体どんな理想的な関係と言えるのだろう

最適化された存在
多数のcomfortのすり合わせ
欠点のまったくない良品
基準の真っ只中に自分が存在するということ

「誰か」と「普通の人」と「常識」
あなたと話し合った瞬間に喪失される
あなたは誰かじゃない
あなたは普通の人じゃない
あなたは常識で考えられる人じゃない

私にとって唯一の人

「誰か」と「普通の人」と「常識」
もし私が本当に一人きりならば
私以外の人間はみんなそうなるのだろう
そして
その存在はすべて私のための敵となる

一人で街を歩くのは
辛いことじゃない
あふれる魅力的なモノに囲まれ
飽きることなく時めいていられる
日と鼓動が落ちさえしなければ
ただそこをずっと巡っているだけで
きっと幸せに感じるだろう

だけれども
日が落ちて夜が寒くなるとき
お腹が減って何かを食べるとき
ただモノに囲まれているだけじゃ
へとへとになってしまうから

私は誰かにここにいて欲しくて
私はあなたにここにいて欲しくて
こっそりとその喧騒から
薄汚れた繭の中へ逃げ込んでいきます

ただ
風邪をひいたんです
朦朧とする意識
布団の中にいるはずなのに
体が震えて
寒さに凍えて
吐き気の中で夢うつつでした

ただ
風邪をひいたんです
夢の街を彷徨って
何一つ口にせずに
白昼夢を
ずっと
繰り広げていました

老いた身体を震わせながら
きっと明日に死ぬこともできるなと
焦点の合わない視線のかなたには
テーブルからこぼれた食べ物のクズに
群がる虫たちが蠢いている光景

この国は老いている
想像もしないほど老いている
きっと誰かが見守らなければ
私のように虫に食い尽くされてしまうのでしょう  

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