〜汝が「求め」を 魂にうるのは
 神の思し召しであり
 神の法則である

 その「求め」は
 おしなべて 人の世の根源たり

 その神の給いし「求め」は
 なほ神の日々の試練たり

 汝その「求め」のため
 彼より奪うならば
 汝やがて彼より奪われる

 汝その「求め」忘るれば
 汝老い易く
 魂から汝は滅び行く

 かのハイウェイラ
 試練を正しく導く女神たり
 ハイウェイラの「求め」は
 汝の「求め」こそ「求め」
 その「求め」に怖じることなく
 「求め」あえば
 奪い合いは
 すなはち許しあいたり
 奪い合いは
 すなはち受容れあいたる

 ジロサムの罠
 マイナスチエィンのぬかるみ
 打ち勝つべく
 女神の栄光に従うべし

 女神ハイウェイラ
 その名を唱え
 忘るるべからず
 女神ハイウェイラ
 女神の栄光のため
 求め合う喜びに奉仕せよ
 受容れあう喜びに奉仕せよ〜

「しっかし、昇級試験に必要だとはいえ
 神学は詩を暗記するばかりでつまんねーなー
 なぁ・・・オーウェン・・・
 って、堅物のお前にこんな愚痴をこぼしてもな・・・
 でも、わけわかんねーよ。
 こんな、あやふやで、どーにでも解釈できるような
 こんな出鱈目な文章・・・」
「いや・・・あやふやで出鱈目ってわけでも
 ないように俺は思うんだ・・・」
「はっはー。優等生はやっぱ違うねー」
「いいか、ルートゥ・・・
 この、女神の名前、単なる名称じゃないって説がある・・・
 いいか、この女神の表記を古代ハポン語で外来表記に
 使われていたルールに従って読み替えて
 それをなおかつ分解してみると・・・
 ほら・・・」
「・・・?
 うん・・・確かに、俺たちも知っている
 鳥や海の名前になる・・・
 けど、そんなアナグラム論、偶然の産物だってよ。」
「いや、アナグラムにしなくとも、
 『ジロサムの罠』なんて、なんで神学に
 古典エネルギーダイナミクス理論で使われているような
 基礎法則と似通った名称が使われているんだ?」
「うーん。そう言われてみればな・・・」
「俺、思うんだ・・・この経典は
 実は、そんな権威のある神哲学のスコラーが
 書き上げたんじゃないんじゃないかなーって・・・」
「そっかなー?」
「もっと他の部分も調べてみようと思うんだ・・・
 でもなんせ古代語だから、やっかいだ・・・
 ちょっと手伝ってくれないかな?」
「えー。マジかよー。他の教科で落としちゃうぜ。
 やめとこうよー。」
「いや、神学史を塗り替えるような発見につながるかも・・・」
「俺たちは航海人だぜー。やめとこうよー。」

後、オーウェンは独自に解析を進めていき、
彼の仮説への確信を深めていった。
しかし、あるときを境に、その話題にぴたりと触れなくなった。
そして、ただ純粋にその経典の敬虔な信者として、朝と夜の祈りをささげながら
「私自身の運命のため、女神の栄光に仕えるだけだ」と
仕事に没頭していったという。

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