温泉の幻想

2003年10月1日
マスコミュニケーションの発達
我々は与えられた喜びしか知らない

今この疲れた心と体を癒す
命ほとばしる温泉に身をゆだね
照りつける陽の光を浴びながら
体の内側にある感覚を楽しんでいる

だけれども
いったいどれくらいの人間が
温泉に入っている間の
内側に起こっている生理の奇跡を
具体的に感じ取っているのだろう

ほとばしる循環
加速していく代謝
交感神経と副交感神経が刺激され
ドラスティックな生体変化が引き起こされる

けど
それが本当に起きているか
わかるのは自分の感覚だけだ

テレビに流れている温泉の風情
それにあこがれる
生活に忙殺されている人々たちは
温泉に幻想を求めている
あの現実と隔たった世界には
天国のような神秘が潜んでいる
まるでそんなふうに思いこんでいる

温泉へのあこがれは
結局温泉へ至るまでの
せかせかとした体力の浪費を増やすばかりだ

温泉につかっている間
自分の体の声が聞こえているかい?
温泉につかっている間
そのやすらぎそのものを自分のものにできているか?

結局温泉に入るのは
あなた自身
そこは天国でも地獄でもない
立派な現実の世界なんだ

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