楽園

2002年2月3日
ひしめく機械の音が
不作法にこの鼓膜を震えさせ
僕は
単調な作業に従事しながら
なにも考えずに生きている

重要度の低い連絡が飛び交い
毎日が毎日として過ぎていくために
なにもかもが漠然と費やされていく

家に帰れば
テレビと
パソコンに電源を入れ
出来合の食べ物に
無味乾燥な舌の感覚は
その味を忘れたかのように
ただ嚥下を繰り返していく

失われた何か
欠落している何か

たとえそれが
新鮮さを持たないとしても
この一瞬一瞬が
みずみずしく彩られる
そのための鍵

ふと
つぶやく
「おまえの息吹が
 聞こえるだけで
 ここは
 絶対のパラダイスになるのにな」

潤いをもった肌の感触を
忘れないうちに反芻して
消え去らないように
消え去らないように
あのときの吐息に混じっていた
あなたのCO2とH2Oの
あたたかみを

あなたの息吹が
そこにあると信じられるだけで
ここは
絶対のパラダイスになるのにな

夜は長く
冬は終わりを告げつつも
その影をまだまだ
この体の上に投げかけていた

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