歌う小鳥を

2002年1月27日
僕の家には小鳥がいた

僕の気持ちを
いつも
歌ってくれていた

僕が悲しいときは
悲しそうな歌を歌った

僕が楽しいときは
楽しい歌を歌った

ずっといっしょにいてくれた

僕は
あるときから
ずっとふさぎ込んでしまった

いろんなことが続いて
僕自身がいけない時もあったけど
自分以外の人が僕につらくあたることもあって
僕は
ずっと
ふさぎ込んでいた

小鳥は
いつものように
歌った

悲しい歌を
ずっと
ずっと

僕は
ある日
鳥の声を
奪ってしまった

もう
悲しい歌は
ききたくない


時がたって
つらいことが
報われる時がきた

僕は
久しぶりに
鼻歌まじりに
家に帰って

久しぶりに
小鳥のそばで
笑って見せた

けど

小鳥は
昔みたいには
もう
歌を歌ってくれなかった

 ***** ハッピーエンド *****

 僕は 小鳥に精一杯ごめんねをしながら
 声を奪ったことを謝った
 小鳥を抱きしめながら

 すると

 小鳥は精一杯にのどをふるわせ始めた

 ぴ
 ぴ
 ぴりり
 ぴ
 ぴ
 ぴりり

 僕は泣きながら優しく小鳥を
 ずっと
 ずっと
 抱きしめた
 小鳥の優しい歌がこだました

 ***** バッドエンド *****

 僕は
 悲しい歌はききたくなかっただけなんだ
 僕は
 おまえの明るい歌声が聞きたいんだ
 でも
 僕自身が
 それを奪ってしまった
 そう
 僕自身が
 それを奪ってしまった

 小鳥は歌を歌わない代わりに
 僕の目を
 寂しそうに見つめるだけだった

 ***** クルエルエンド *****

 僕は
 新しい小鳥を買った
 僕は
 今までとは違う歌を歌ってくれる
 小鳥を買った

 声を失った小鳥は
 もう小鳥じゃない
 歌えない小鳥はかわいそうだったから
 今
 その小鳥はずっと眠っているよ

 ***** 単純熱血エンド *****

 僕は
 その過ちを後悔し
 それから
 死にものぐるいで勉強した

 そして
 小動物の声帯について権威を持つ
 知識と経験が豊かな獣医になった

 僕は見事にその小鳥に手術を施し
 その小鳥は
 僕が獣医になるまでにかかった10年分
 失われていた喜びの歌を
 僕の周りで歌いながら飛び回っていた

 ***** 現実的な警告 *****

 自分たちの都合で
 生き物の命や
 体の機能を奪うことは
 決して賢明な判断とはいえないでしょう

 生殖機能に関することには
 個人的に若干許容したいと思いますが
 声をなくすのは
 どうかと思います

 周囲に迷惑になるのがわかっていたら
 最初からあまり声の出ないものを選びましょう

コメント

最新の日記 一覧

<<  2025年6月  >>
1234567
891011121314
15161718192021
22232425262728
293012345

お気に入り日記の更新

最新のコメント

日記内を検索