ねぇ　きみ　何を言いたかったのかな？

2001年9月29日

言葉を持たない赤ん坊
でも
見つめてみると
たまに表情豊かに
語りかけてくる

　いっぱいミルクを飲みましたね〜
　いっぱいミルク飲んでいる間に
　いろいろとお話をしましたね
　きみは
　その話をどれくらい覚えていますか？

　ご機嫌ですね
　ほら
　ほっぺがぷくぷくです

触れた指の感覚に触発されて
きみは
唇をつきだして
「お〜」
という声を出したがっているような
そんな表情を見せてくれた

笑った顔を初めて見せてくれた
その直後のそのお顔
何を言いたかったんだろう
何かを言いたかったんだろう

くりくりとした視線の先には
まだうすぼんやりとした
きみが何も知らない世界が広がっている

でも
きみが
「お〜」
という口振りのとき
そのまなざしは
たしかに何かをとらえていた

輝きに満ちた視線と
ほっぺたと
体動

きみに会うことは
たぶんもうないね
でも
赤ん坊のときの記憶は
5歳の頃までは覚えているんだって

もしぼくのにおいと
ぼくの手の感触を覚えていたら
そのとき
教えてくれないか？

ねぇ
きみ
何を言いたかったのかな？