巣から落ちた雀

やぁ！

自転車を飛ばしていた道ばたに
可愛い雀がこちらを見ていた

ん？

なんだか、そいつは
ふつうの雀と違っていたので
足を止めて

ご挨拶・・・

頭にまだ産毛が生えていて
目がぱっちりとした雀の雛
少しは飛べるけど
まるで
ガチョウのように
ほんのちょっぴりしか飛べない・・・

きっと
巣から落ちてしまったんだね

どうしよう
どうしよう

どうしよう
どうしよう

しっかりと手のひらに抱きしめて
近くの木の上を見るけれども
どこにも雀の巣は見つからない

家に持って帰るわけにいかないよ
うちには猫がいる！

どうしよう
どうしよう

抱きしめられた手の中で
目を閉じてじっとする雛
少し手をゆるめると
逃げようとするけど

だめだよっ！
車が来たら
おまえはつぶされてしまう！

ここには猫もいるんだよ

どうしよう
どうしよう・・・

まよっているあいだ
ふと
手をゆるめると

その雛鳥は
なんとかなんとか
飛んでいった・・・

そして
緑地帯の
植物が茂る
中に消えていった・・・

ごめんなさい
何かしてあげられなくて

お願いです
神様がいるのなら
あの子を
親に会わせてあげて

それか
なんとかあの子を生き延びさせてあげて・・・

一度落ちた雛は
決して助からないとは
聞いているけれど

あのこのような
これからその人生を生きていく
小さないのちは
まだまだ
その生を全うしていないと思うから

どうか
生き延びてください・・・