ビニール傘

2001年6月14日
緑色の
ほんの500円もしない
ちっちゃな傘

雨の降りしきる中
ほとんど人のいない部屋で
置いていたんだ

帰りがけに
消えていた
きっと
同じ部屋にいた誰かが
持っていったんだね

多分
たかだかビニール傘
みんな言うけど

雨の中
びしょぬれで帰らなければならないこと
その部屋には置き忘れのビニール傘があって
それを持っていけばいいと考えたのか
知らないけど

あの傘の緑の色が
とっても好きだったのに・・・

医学部にいる大学生の君
君は
医療現場に出て
たくさんの病気でなくなっていく人を見ながら
「たかだか病人の命」って思い始めたら
多分
患者さんを見捨てるよね
たくさんの医療の技術を使って
根気よく直す患者さんって
案外お金にならないって
大学の先生も言っている
だから
文句さえ言われなければいいと思って
あまり効果のない薬を処方して
家族にありがたがられながら
患者さんを殺していくんだよね

説明を求められても
患者さんの家族が訳がわからなくなるような
言葉をめちゃめちゃに使って
それでなくても精神的に参っている心を
もっと混乱させるすべを学ぶことだろうね

いい加減にしろ
別にそこいらへんに投げて
捨ててある傘をひろって使うなとは言わない
でも
誰かが目的あって使って置いているものを
気持ちも考えもなく
自分を守るためだけに
取っていくような
そんな心ない行為を平然とするなよ

でも
所詮傘は傘
患者さんは人間だから違うよ
お利口な君はきっとそういうね

でも
自分の医療技術の責任で
自分の医者の立場が危うくなったとき
君は一体全体どんな対応と取るのだろうね

雨に濡れるのもいやがるんだもの
きっと
どんな責任が自分にあったとしても
きっと
適当な言い訳をでっちあげるか
社会的に立場の弱い
インターンの人や
看護婦さんなんかに
責任をなすりつけるんだろうね

君は決して雨に濡れない
かわりに誰かが雨に濡れている

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