よし、南からの微風が吹いてきた
2001年5月17日朗らかな微笑みをたたえて
そいつは断崖絶壁の上
誰をも圧倒するように
たたずんでいた
「考え直しなさい」
拡声器の声が響く中
そいつは朗らかな声で
笑ってみせた
あっはっはっはっはっはっはっはっは
これじゃ
どっちが死を目の前にしているのか
わかりゃしない
ハンカチを持って
ゆっくりと振り始めたその男は
満面の笑みをたたえ
ハンカチの揺れを眺めていた
「ようし、ちょうど良い風だ」
緊張が走る
その時
バーン
何故か・・・発砲の音が響く
わななく女性の手には
しっかりと握りしめられた
若い警官の拳銃が
煙を上げていた
腹を抱えて
それでも笑いながら
どすんと倒れ込んだ男
彼は
望んでいた方向とは逆に倒れ込んだ
ただ
ひどく血が流れていた
女はきりりと口を結んでいた
呆然として
一体全体何があったのかすら
理解できない周囲の人をよそに
女はどうどうと
男の元へと歩み寄っていった
泡を吹いて目を白黒させるおとこは
でも
ひっしに笑みをたたえながら
「やあ」
ピシッ
おんなの平手打ちが飛ぶ
弱り目に祟り目とは
まさにこのことか
女は泪をこらえながら言った
「バカ・・・・
死ぬときは
一緒ねって
約束したでしょ
でもね
あなたを死なせるわけにはいかないの
ね
思い出して
二人
どんなしんどいことがあっても
頑張ってきたじゃない」
そこで
初めて
男は
笑顔を崩すと
こらえていた涙を
流し始めた
「ありがとう
おまえ
でも
血が止まらないんだ」
そいつは断崖絶壁の上
誰をも圧倒するように
たたずんでいた
「考え直しなさい」
拡声器の声が響く中
そいつは朗らかな声で
笑ってみせた
あっはっはっはっはっはっはっはっは
これじゃ
どっちが死を目の前にしているのか
わかりゃしない
ハンカチを持って
ゆっくりと振り始めたその男は
満面の笑みをたたえ
ハンカチの揺れを眺めていた
「ようし、ちょうど良い風だ」
緊張が走る
その時
バーン
何故か・・・発砲の音が響く
わななく女性の手には
しっかりと握りしめられた
若い警官の拳銃が
煙を上げていた
腹を抱えて
それでも笑いながら
どすんと倒れ込んだ男
彼は
望んでいた方向とは逆に倒れ込んだ
ただ
ひどく血が流れていた
女はきりりと口を結んでいた
呆然として
一体全体何があったのかすら
理解できない周囲の人をよそに
女はどうどうと
男の元へと歩み寄っていった
泡を吹いて目を白黒させるおとこは
でも
ひっしに笑みをたたえながら
「やあ」
ピシッ
おんなの平手打ちが飛ぶ
弱り目に祟り目とは
まさにこのことか
女は泪をこらえながら言った
「バカ・・・・
死ぬときは
一緒ねって
約束したでしょ
でもね
あなたを死なせるわけにはいかないの
ね
思い出して
二人
どんなしんどいことがあっても
頑張ってきたじゃない」
そこで
初めて
男は
笑顔を崩すと
こらえていた涙を
流し始めた
「ありがとう
おまえ
でも
血が止まらないんだ」
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