2001年5月10日
いらついた視線で
半額の牛丼を待っているサラリーマン
笑顔をたやさないようにして
かえって心を痛めている店員

虚栄の世界できらびやかに
ブランド商品を
稼ぎ出すお金の価値を知らない高校生に
勧めているマヌカンたち

毎日毎日同じ線路の上を通って
せめて事故がなくて良かったと
電車の運転手はささやかに喜びつつも
何か満たされぬ思いで車庫への進路を取る

華やかな中心街
かつてもっとも最新鋭だったビルディングは
すでに薄汚れて
そこを誇らしく建てていた建築家たちは
最新鋭の老人ホームで過去を懐かしんでいる

抑圧された世代と
矛先を向けられた世代
手に入れすぎて失うことを恐れる世代が
最後まで手に入らなかった心を
支配しようと躍起になり続けている

本当に恵まれた幸せなカップル
そのカップルを支えている
何百人もの人たち

そして
考えなくてもいい
そんな反抗的思想に酔いしれながら
一人で画面にだけ向かっている男が居る

しかし彼はふと気づく

人間の歴史の中で
このような不満も続いてきたが

おそらく
歴史の中には必ず誰しもが栄光の一瞬を
持っていたことを

彼は画面の電源を切ることもなく
いっさいの言葉を捨てて

街に向かって立ち上がっていった・・・

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