ほんのわずかな日常

2001年2月17日
「みみっちい思い出話でも聞かせようか?」
あなたが煎れてくれた紅茶を
暖かそうにすすりながら僕はそう答えた

憂鬱そうな顔をしながら
でも
軽やかなものごしで席に着くあなた
軽く首を振って
微笑んで見せてくれた

「なんとか・・・するわよ」
ほっと胸の奥から漏れて出たため息
映画のヒロインみたいに
髪をくしゃくしゃしながら
唇を曲げて
でも目は笑っているよ

じっと見つめていたら
「だから
 こういうときってば
 あまり見つめないでって
 言っているのに・・・」
少し声が消え入りそうになりながら
うつむく

にこにこしている僕の顔に
いつまでたっても照れているあなた

誰も知らないところの顔だって
お互い知っているはずなのに
いつまでも
新鮮なはじらいを
あなたは忘れない

「ほんとは
 みつめるなんてもんじゃ済まないよ
 今はまだそんな時間じゃないからね」

「ばぁか」
ほんの少しだけの音量で
ささやくように
つぶやくあなた

そして
いつものように
ジョークで空気を入れ換える
ドラマのような笑い声をあげて
ほんのわずかな休息のひととき

二人が二人を
日常の中で包み込むひととき

そして僕がいつも唐突に
「あいしているよ」

今日もあなたに呼びかけた

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